植皮術は、自分の皮膚をどこかからか採皮して移植をする手術です。広範囲を1回の手術で取り去ることが可能です。最近は、入れてしまった刺青・タトゥーを早期に取り去りたいという悩みの方が増えてきています。就職・結婚など人生のイベントのため、どうにか早く取らなくてはというケースでは、レーザー治療ではなかなか対応できません。まず適応は黒色のものなのですが、濃い色の場合、残存してしまうケースがあります。また、綠や赤など黒色以外のものは、レーザー治療では不可能であるのが現状です。
移植する皮膚の厚さで、分層植皮と全層植皮に分かれます。
当院では、キレイに仕上がる分層植皮を採用しています。植皮するための皮膚を採皮する場所は、臀部がメインです。比較的色調がどこでも合いやすいのと、取り去った跡は下着や水着で隠しやすいためです。よだ形成外科クリニックでは、「パジェットダーマトーム」という機械を使用して採皮します。(電動のパジェットダーマトームは使用しません)キレイに大きく、適度な厚さで採皮するにはテクニックが必要です。電動ではなく手動で微調整しながら皮膚を取っていきます。タトゥーを取り去り、採皮した皮膚で覆い固定します。植皮された皮膚は3ヶ月くらい圧迫療法などのケアをして少しずつ馴染ませていきます。植皮は術後数か月間で萎縮して皮膚が縮んできたり、色素沈着などを引き起こしたりする可能性があるため、圧迫や遮光などのアフターケアーが非常に重要となります。
術前
術後(1ヶ月)
治療名 | 植皮術 |
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治療内容 | 多色の広範囲のタトゥー。レーザー治療は適応外でしたので植皮術を行ないました。臀部からパジェットダーマトームという機械を使用して採皮します。最大10cm×20cm大が採れます。そしてタトゥーを取り去ります。次に採皮した皮膚で覆っていきます。ずれないようにタイオーバー固定を行います。 |
リスク | 採皮部の瘢痕、植皮した皮膚が一部生着しない。 |
費用 | 全身麻酔170,000円 500,000円 10cm×10cmまで 2012年1月現在 |
医師によるカウンセリングを行います。ご不明なことや不安などがありましたら、お気軽にご質問ください。カウンセリングの際は、患者様のご希望や治療を行う部位の状態に合わせ、治療方針、治療方法、リスク、麻酔方法など、医師が詳しく説明します。当院の治療は、双方合意のもとで行います。患者様がご納得されていないのに、治療を無理強いするようなことは一切ありませんのでご安心ください。初めての方でも安心して相談できるよう、院長が担当させていただきます。日頃から気になっているお悩みをお聞かせください。
刺青・タトゥーの色、濃さ、大きさ、場所を診察します。
治療はどの方法が良いのか希望の治療期間を考慮に入れ検討します。レーザー治療の良い適応の場合はQスイッチルビーレーザーによる治療を選択します。
麻酔科指導医による苦痛の少ない全身麻酔を行ないます。皮膚を臀部などから採皮をし、刺青・タトゥーを取り去るというように複数の手術場所になるためです。
採皮した部分は医療用の創傷被覆材にてカバーをし、約10日をもってドライアップ(ガーゼ保護がいらない)してきます。刺青・タトゥーは、きれいに取り去り、アザや怪我のため植皮をしたという理由で説明できるようにデザインして植皮を行います。植皮部はタイオーバー固定というズレや血腫を予防する固定を行います。
タイオーバー固定は5日目に外し、抜糸は7~10日目に行います。特に問題がなければ、約10~14日で、完成し、仕事も行えます。しかし、植皮部をなじませるため約3ヶ月間、スポンジ等による圧迫固定が必要です。
スポーツ等は1ヶ月目から可能です。植皮部は経過と共に馴染んできます。採皮部は当初、赤みやかゆみが気になるかもしれません。最終的には擦り傷様の面の手術跡になってきます。
治療後の通院や診察が必要な場合、医師の指示に従ってアフターケアを行ってください。術後の腫れや経過などについて、不安なことやご不明点などがありましたら、お気軽にご相談ください。
ダウンタイム (痛み・傷跡) |
14日~20日位 |
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通院回数 | タイオーバー固定外し5日目、抜糸7日目、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6カ月後、1年後経過観察 |
抜糸の時期 | 7日目 |
シャワー・入浴 | シャワーは3日目より可能。入浴は7日目より可能 |
植皮は、自分の皮膚でなくては生着しません。また、臀部などから採皮しなくてはならないという新たに犠牲を払わなくてはならないということもあります。形成外科医にとって、「手術は植皮に始まり植皮に終わる」と言われるほど、最も基本的な手術のひとつです。
東京警察病院形成外科で研修医として入局した時は、植皮の連続でした。小さな子供のヤケドに対しての植皮も多くありました。ただ植皮するだけではなく、「昔ケガをしたから」「大きなアザがあったから」という原因で植皮術を受けたと言ってあげられるような、よりナチュラルに見える植皮術を提供してきました。そのおかげで、ミスすることなくきれいに採皮することができるようになりました。
植皮は皮膚をのっければくっつくというわけではありません。採取する皮膚の厚さを自在に操れる技術、ずれないように固定する高度な技術を行うことで、時間の経過とともに周囲の皮膚となじみ、きれいになっていきます。皮膚を採皮するのは美容外科の場合失敗が許されませんので、形成外科の基礎をどれだけ行ってきたかと言うことが勝負の分かれ目になります。刺青・タトゥーは、入れるのは簡単ですが取り去るのはかなり大変な作業となります。なにとぞ刺青・タトゥーを皮膚に入れるのは慎重であって下さい。
施術内容 | 数量・容量・範囲など | 税込価格 | YD-APS税込価格 >> YD-APSとは? |
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植皮術 ※全身麻酔が必要(費用別途) ※麻酔科指導医による麻酔 |
10cm×10cmまで | ¥550,000 | ¥473,000 |
※当院の金額は全て税込価格となります。
A 臀部から採皮しますのでプライベートにならない限り見えません。採皮跡は最終的には質感の悪い皮膚のようになっていきます。
A 大きさによります。植皮では10cm×20cmの範囲を可能とします。
A 早期にタトゥーを取り去りたい方、黒以外が混ざっている方(濃すぎる黒も含む)、タトゥーであったと判断されたくない方などが適していると思います。