コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2020.9.24(木)
今回は、前回の埋没法による二重形成術の続きです。
全切開法による二重形成術についてお話をしていきます。
埋没法ではなく全切開法で二重を検討している方の主な相談内容は以下のことが多いです。
・以前埋没法を受けたが緩んでしまった
・厚ぼったいまぶたである
・なるべく長期にわたって二重を継続させたい
・全切開法が理想だが、執刀医の症例数や技術が気になる
よだ形成外科クリニックが二重まぶたの施術で大事にしているのは、患者様のご要望をお伺いした上で、ひとりひとりのまぶたの解剖学的な状態に合わせた最適な二重を行うことです。
全切開法による二重形成術とは上まぶたを「メスで切開し皮下の組織を減量し、しかるべきところで開瞼時に二重のヒダができるように固定する方法です。
その手術方法は執刀医によって様々で考え方やデザイン、固定方法も異なります。
何よりも手術技術は執刀医によってとても仕上がりに幅があるといっても過言はないでしょう。
全切開法による利点と欠点は色々とありますが、代表的なことは以下の通りです。
・皮膚の余りや脂肪など余剰な組織を減量することができる
・固定力が強いので長期間あるいは半永久的に二重を継続することができる
・埋没法と異なり瞼板に糸が貫通しない
・埋没法より長いダウンタイムを要する
・解剖学的に許容を超えた二重を作成すると自然さに欠けた二重となることがある
・執刀医の技術によって仕上がりが大きく異なる
などです。
まず、まぶたの状況を診察します。
まぶたの厚みや膨らみの状態をチェックし、挙筋機能といってまぶたを開ける力を診察していきます。
まぶたを引き上げる挙筋機能に問題がある場合は、全切開のみの手術ではなく挙筋腱膜前転術の手術適応となる場合があることを説明いたします。
過去に埋没法の既往歴がある場合はまぶたをひっくり返して瞼板の状態をチェック、写真撮影します。
ご希望のラインになるようにブジーをまぶたに当てて探索をして行きます。
解剖学的にご希望のラインにならないこともあるので医師と患者様とでディスカッションしながら手術で実現可能な二重のラインを決めていきます。
この際決定したラインが切開予定ラインとは限りません。
術前にマーキングしたラインは実際にメスで切開するラインではないことも多いです。
二重とは睫毛から上方のあるラインが動くことがなければ、目を開けるとそのラインから上の皮膚が被ってくることを指します。
つまり睫毛から予定ラインが固定される必要があります。
よって予定ラインを単純に切開して縫合しても永続的な二重は作成できません。
私の場合、固定点は瞼板上に固定をしたいため、瞼板の大きさからの円周上で、皮膚のとの交点から切開をしていきます。
瞼板の大きさは女子の場合は約7mmなので予定ラインが7mmの前後の場合、皮膚切除することなくそのまま切開をしていきます。
7mmの測定のしかたは皮膚に緊張をかけた状態の測定値です。この測定の仕方は医師によって異なります。
7mmを越す値の場合は7mm付近を越した分のみ皮膚切除を予定しますがだいたい3mm前後です。3mmより大きな皮膚を切除しなければいけない値の場合は、ナチュラルな二重にならないこともあるので再検討をしていきます。
そして、眼輪筋を切開し、睫毛付近まで眼輪筋下で剥離をしていきます。
このことにより奥二重がとれて睫毛と切開線との皮膚にハリができます。
睫毛と切開ラインの間の皮膚が膨らまないように瞼板前組織を切除します。
併せて中央から外側のはみ出てくる隔膜内脂肪を必要に応じて減量します。
隔膜内脂肪は中央から内側を取り過ぎると術後の予定外ラインの発生や窪み眼の原因になるので取り過ぎは禁物です。
切開ラインを固定するために眼輪筋を瞼板に縫合をします。
ダウンタイムは睫毛と切開ラインの皮膚がふくらんでくることがメインですのでなるべく膨らまないように特殊な方法で眼輪筋を固定します。
吸収糸を使用します。
最後に皮膚の段差や食い込みが軽減するように細いナイロン糸で縫合をします。
術後の腫れや1~2日目が強くなります。
当院では軟膏を処方しますので塗布していただきます。
7日目に抜糸を行います。
抜糸は痛いモノではありません。
お化粧をして人前に出てもいいかなと思うのはだいたい術後10日目です。
想定したラインには約3ヶ月必要です。
切開線の赤みは約3ヶ月、食い込み感は6ヶ月くらいかけてなじみます。
すぐ食い込み感がなくなる場合は全切開といえどもゆるんだ二重になることもあります。
術後1年間は丁寧にまぶたを扱う必要があります。
お化粧を落とすのは横向きに静かに押して落とすといいでしょう。
まれに切開線から吸収糸の露出や炎症を起こすことがありますが、当院での診察を受けて指示に従ってください。
全切開法による二重形成術の手術方法は医師によって様々です。他院で全切開を行ってきて経過が思わしくないと相談を受けるのは以下のような内容が多いです。
・全切開後の1ヶ月目は理想の二重であったが、3ヶ月目あたりからラインが薄くなり、浅い二重になってしまった
・アイプチで幅広・平行二重を作っていたのでそのラインを固定するように全切開してもらったら、予想外の食い込みの幅広二重になってしまった
前者はおそらく切開ライン付近のみ皮下組織を切除したか皮膚切開のみの中途半端な全切開、後者は瞼板の大きさを超えて皮下組織をがっつり取ってしまったことが原因であることがほとんどです。
修正は前者の方が断然しやすいといえます。
なぜならほとんど処理がなされていないからです。(全切開後の修正手術については後日お話ししましょう)
術前マーキングや術中のデザインも行わず、完全医師任せのフリーハンド手術を受けたなどという術後相談も受けることがあります。
私が行っている手術が一番優れている方法とは言えませんが、解剖学的に反した手術を行った場合はトラブルの確率が高くなることは間違いありません。 医師の美容外科医になるまでの経歴や美容外科医としての経歴を参考に、ブログやSNSなどで症例をチェックすることも判断の一助になるかもしれません。
最後に全切開+他院埋没法後の埋没糸抜去を受けた方の症例を見てみましょう。
【術前】 過去に他院で埋没法を受けられましたがほとんど元に戻っているとのことでした。
【デザイン】 この方は術前シミュレーションに基づき、睫毛から皮膚にやや緊張をかけた状態で6.9mm、皮膚切除2.0mmの設定となりました。瞼板の高さ内での切開となります。
直後の開瞼-閉瞼、抜糸直後7日目の開瞼-閉瞼です。
この方の場合あと数日でお化粧すれば人前にでても違和感を感じない位になると思います。
1ヶ月目の開瞼ー閉瞼、3ヶ月目の開瞼-閉瞼です。
1ヶ月目になると想定した二重にほぼ近づきます。
3ヶ月目になると切開したラインがなじんできます。
手術後約1年は縦方向にまぶたをこすらない注意が必要です。