コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2021.5.14(金)
年齢とともに下がってくる顔面組織。
免許証の更新ごとの顔の写真に加齢を感じるものです。
加齢で現れる顔面の変化は組織の下垂とボリュームが減少することです。
あくまでも見た目にはなりますが、加齢現象に伴う下垂とボリュームの減少をいくらかでも防ぐことができたら見た目の加齢現象はゆるやかにできることになります。
今回は下がってしまった組織をいかに引き上げて元に戻して持続させるかという点についてお話をしていきたいと思います。
1.組織に熱を加えて収縮させ組織修復させるもの
など
2.真皮にダメージを与えてその組織修復課程で皮膚を引き締めるもの
など
3.真皮のコラーゲン産生能力を高めるもの
など
4.糸を利用して皮下組織を引き上げるもの
5.皮下の組織を引き上げ、皮膚の切除を行うもの
上記の施術、手術は、たるみ治療において、ある一定の効果が認められると思います。
しかしいずれの方法であっても、私たちの顔面の組織のどこの部位やどの深さの組織に問題があるのかを見極め、施術や手術を選択しなければ、期待する効果が見込めません。
今回は私が取り組んでいるフェイスリフト手術である「ラテラールスマセクトミー(Lateral SMASectomy)」について説明をしていきます。
私たちの顔面の組織は上から、
となっています。
これらのどの部位に問題があるかを私たち美容外科医が診察して診断し、適切な治療方法をおすすめすることが求められます。
マリオネットラインと呼ばれる口周りのたるみや、フェイスラインのたるみは長年受けた重力によって下がったものです。
深さで言えば皮下脂肪と筋膜や筋肉にあたります。
この部位に対して治療行為を及ぼすには、さすがに非手術的な手法では難しく、手術療法でないと無理なことが多いのです。
そこでフェイスリフト手術という選択になるのですが、「フェイスリフト手術」という言い方は大変曖昧な言い方で、どんなフェイスリフトでも良いというわけではありません。
フェイスリフトと呼ばれているメニューで、どのような手術が施されるかということがとても重要になってきます。
フェイスリフトと謳っていて、手術時間にして1時間ほどで終了する、皮膚のみを切除するような方法を行う施設もあると聞きますが、結論から言うと手術効果はありません。
なぜなら、たるみの原因は皮膚のみではなく、メインは皮下脂肪や皮下の筋膜や筋肉にあるからです。
単に皮膚のみを切除縫合するような手術方法を行った場合、単に皮膚のみの切除縫合の手術で効果がないばかりか、その後の耳垂の変形や引きつりを起こす可能性まであります。
フェイスリフト手術の基本は、
皮膚-筋肉と筋膜の組織群である
SMAS(スマス)に対して引き上げて固定することです。
USAの美容形成外科医であるDaniel Baker Dr.が考案されたLateral SMASectomy(ラテラールスマセクトミー)が大変有用ということが証明され、本格的なフェイスリフト手術を行う美容外科医らがその方法を好んで手術しています。
もちろん私もその中の一人ですので、当院のフェイスリフトは、Lateral SMASectomy(ラテラールスマセクトミー)を採用しています。
Lateral SMASectomy(ラテラールスマセクトミー)は、もみ上げ内から耳のライン~耳の後面から生え際を皮膚切開し、法令線付近まで皮膚を剥離します。
たるみの原因である皮下のSMASを目尻から耳垂付近で切開してSMAS下を剥離、上方へ引き上げながら固定をします。
そして余った皮膚を切除して丁寧に皮膚縫合します。
この方法で手術を行った場合、皮膚を切除するだけでも片側1時間は必要ですので、
2時間で終了するようなフェイスリフトは、いわば「なんちゃてフェイスリフト」と呼ばざるを得ません。
ラテラールスマセクトミー(Lateral SMASectomy)は、私一人で手術を行うと約5時間は必要とする手術時間です。
そのため手術は全身麻酔手術となります。
ちなみに全身麻酔手術は、「はい。今から麻酔をかけますよ」という麻酔ではありません。当院では少なくとも、術前に胸部のレントゲン写真と心電図、そして全身麻酔に必要な血液検査を行います。
麻酔は私がレジデント時代からお世話になっているベテラン麻酔科専門医のドクターに依頼をしています。
当然のことながら医療事故は0です。
ラテラールスマセクトミー(Lateral SMASectomy)によるフェイスリフト手術は形成外科・美容外科医であれば誰でも行うことのできる手術ではありません。
幸いなことに私は東京警察病院形成外科時代にフェイスリフト手術の基本手技を教わり、そしてフェイスリフト手術の指導を直接受けたことが財産になっています。
後出血の予防にドレーンが挿入され、顔面の前面は見えていますが包帯による圧迫固定がなされています。
2日目 血腫がなければドレーンを抜去
4日目 包帯をオフにして洗髪をしたのちガーメントによる固定
7-10日目 抜糸 まだ内出血斑やおたふく後のような腫れが認められるでしょう。
髪型にもよりますが、人前に出られる目安は10-14日です。
術後2週間を過ぎると剥離した部位の固さを認めてくるので、医療用の超音波マッサージにて後のリハビリを行っていきます。
その後も術部位の肥厚性瘢痕の管理を3-6ヶ月行っていきます。
前述したように加齢は下垂とボリュームの減少ですから、フェイスリフト手術の影響が落ち着き始める術後6ヶ月目くらいからボリュームのたりない部位に対して注入療法を必要に応じて検討をしていきます。
せっかく大きな手術を行った後はその効果を維持するために、組織のそれぞれの層、表皮や真皮、皮下に対して治療を少しばかり加えていきます。
下記に手術の実際を供覧します。
興味のある方はクリックしてご覧ください。
※刺激的な写真がありますので、苦手な方はお気をつけください。
治療名 | フェイスリフト ラテラールスマセクトミー+ PRPFによるボリュームアップ |
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治療内容 | フェイスリフト ラテラールスマセクトミーを行った後、1年後にボリュームの少ない所にPRPFによるボリュームアップを行いました。 |
リスク | やや長いダウンタイム、左右差あり。 |
費用 | フェイスリフト 700,000円、全身麻酔 180,000円、PRPF 260,000円 2017年 10月現在 |
よだ形成外科クリニック院長
依田 拓之 院長
心から信頼できる
美容外科医療を目指して。
・日本形成外科学会認定専門医
・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医