コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2022.08.26(金)
今回は私が取り組んでいるヒアルロン酸注入についてお話します。
現在の注入術と言えば、ほぼヒアルロン酸を使用していますが、私が研修医の頃はヒアルロン酸由来の注入製剤はありませんでした。
その当時の異物注入剤で、安全性が高い製剤と言えばコラーゲンでした。牛由来のコラーゲンは大変滑らかで、使用感のいい製品でした。
しかし、注入前に6週間のアレルギー反応テストが必要なのと、BSEという牛海綿状脳症の問題が着目され、牛由来の製剤が使われなくなってしまったのです。
その他は、アレルギーテスト不要なシリコンや炭水化物系の製剤などが存在しましたが、シコリができることが多く、治療上問題が多すぎる製剤でした。
そこで、1990年代の後半くらいに、非動物性のアレルギー反応が極めて少ないヒアルロン酸製品が開発されたのでした。
現在主流のヒアルロン酸は厚労省認可製品でとても使い心地がよく、結果もよい製品に仕上がっています。最新のテクノロジーが搭載された素晴らしいヒアルロン酸です。
基本的な治療の適応は
①動かなくても存在するシワ
②へこみやボリューム不足
③口唇や鼻根部などの形態の改善
④骨膜に当ててリフトアップをする
などです。
①に近いのですが、眉間や目尻など「表情を起こすとできるシワの治療」の原則は動かなければシワはできないのですから、ボトックスによる表情筋のブロックが第1選択となります。
現在採用しているヒアルロン酸製剤は、厚労省認可製品であるアラガン社製ジュビダームビスタシリーズです。
従来のヒアルロン酸製剤と異なり、「VYCROSSⓇ」(バイクロス)という新技術で高分子・低分子ヒアルロン酸を3次元的に高架橋することにより、長時間持続、低吸収性、リフト力、成形性、組織親和性を高めたすぐれた製品となっています。
ヒアルロン酸の濃度によっていくつか種類があり、使用目的によって選択していきます。
①ジュビダームビスタボライトXC
目回りの小じわや頚部のシワに良い。皮内に注入していきます。
②ジュビダームビスタボルベラXC
唇をふっくらさせる、涙袋形成などに使用。私はこの製品はとてもいいと思います。
③ジュビダームビスタボリフトXC
法令線やマリオネットラインの比較的浅いシワに使用。
④ジュビダームビスタボリューマXC
頬などのへこみをふっくらさせたり、骨にあてて軽いリフトもできます。画期的な製品。
この製品の素晴らしい性能によってジュビダームシリーズを見直しました。
⑤ジュビダームビスタボラックスXC
鼻を高くする、アゴ先を整えるなど形を作るヒアルロン酸です。
加齢現象とは、下垂とボリューム不足です。
このボリューム不足を補うのにジュビダームビスタボリューマXCが効果を発揮します。
従来なら脂肪注入を考えましたが、ジュビダームビスタボリューマXCが脂肪注入をしのぐ効果と柔軟な治療をもたらしました。
製品はそれぞれ1mlの注射器になっています。
診察時に相談しながら、MDコードを利用して注入部位を決定していきます。
私の場合、一気に4ml〜5ml(4〜5本)注入するのは嫌いなので、とりあえず1〜2本で直せる範囲で治療計画をします。後日必要に応じて追加注入をします。
注射針で垂直に刺入するのではなく、カニュラという細い針金のような針を使用します。刺入部位に局所麻酔をして、小さい穴を開けます。傷にはなりません。
カニュラを治療部位に平行に刺入していきます。ヒアルロン酸は一気に入れる(ボーラスと言う)のではなく、3次元的にお米を蒔くイメージで注入します。そのことにより少ない量でふんわりと膨らませることができます。
内出血などはほとんど起こりません。注入した数日は触れるとヒアルロン酸の存在感がありますが7〜10日ほどで馴染んでしまいます。
最低2週間を開けて、必要に応じて注入時の残量があればタッチアップを行い、追加注入が必要なら1ヶ月後でも3ヶ月後でも希望に応じて治療を行います。追加注入が容易なのが脂肪注入と異なるところです。
足りないところをヒアルロン酸で補うといくらかのリフトアップ効果が得られますが、頬骨弓の骨膜に針を当てて組織を貼り付けるように押し当てると、頬骨弓で顔面が持ち上がるように見えます。ヒアルロン酸リフトと呼んでいます。このリフトを併用するとジュビダームビスタボリューマの使用量をやや減らせる場合があります。
左上 術前正面 右上 術前斜位
左下 注入直後正面 右下 注入直後斜位
【施術名】ボリューマXC、ボリフトXCによるヒアルロン酸リフト
【概要】厚労省認可のヒアルロン酸を注入してお顔の輪郭を整えます。
【治療費】ボリューマXC 1ml 88,000円
ボリフトXC 1ml 88,000円 (税込)
使用量は個人によって異なります。
【注意点】効果は6〜12ヶ月、数ヶ月後にタッチアップ(少し足してあげる)とより持続します。
【副作用】一時的な皮膚の赤み、内出血の可能性。
一時的な注入部位の硬さ。
感染。血管の塞栓など。
万が一の時はヒアルロニダーゼでヒアルロン酸は溶解可能です。
よだ形成外科クリニック院長
依田 拓之 院長
心から信頼できる
美容外科医療を目指して。
・日本形成外科学会認定専門医
・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医