コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2021.1.29(金)
目頭は蒙古ヒダと呼ばれ、東洋人に多い解剖学的な特徴の1つです。
この目頭は目もとの印象を形作る部分でもあります。
目頭の形によっては幼すぎる印象や大人びた印象を与えたり、重瞼線(二重のライン)の流れ方にも影響を与えます。また目頭の形は平行な二重や末広な二重となる要素の1つです。
目と目の間をコントロールするのが目頭切開手術の基本ではありますが、何事にも美容外科医は美的なバランスをいつも考えて手術計画をしています。
一般的には、目頭から二重のラインが消失する場所までの長さと左右の目頭の間(右目:目頭間:左目)は、
1:1:1
が良いとされています。
このデータはあくまでも参考値ですので、鼻とのバランスやお顔の大きさ、面長なのか丸顔なのかなどの特徴も併せて考えていく必要があります。
原則的には、上に述べたバランス比が
1:1以上:1
の場合、目頭切開手術を検討していくことになります。
目頭切開の手術法は多岐に及びます。
それぞれの方法によって当然メリット・デメリットがあります。
東洋人に対する目頭切開手術法の代表的なものは、単純皮膚切除法、W法である内田法、平賀法などです。
これらの方法は、いずれも皮膚を切除する方法であるためダイナミックに変化はしますが、目頭の形のコントロールの難しさや術後の瘢痕が目立つことがあるのが難点だと思います。
私も15年以上前はW法である内田法を行っていましたが、コントロールが難しく、傷跡が目立ちやすい傾向があるという問題点があるため現在は行っていません。
目頭のコントロールは、皮膚の切除量が少ない方法のほうが断然行いやすいので、現在はZ形成術による目頭切開手術法の1つを採用しています。
目頭の裏と表とのラインでV字に切開し表側で中心部に切開線を作成します。
紙で作成してみると傾いたZ字になっています。
皮弁と言いますが、Zを形成している三角形が入れ替わることで目頭の形が変化するという優れた方法です。
皮弁を入れ替えた上方の三角形にやや皮膚の余りが生じるために若干の皮膚切除を行うことがあります。(図の青い部分)
このZ形成術による目頭切開法は今や多くの術者に採用されているようです。
しかしながらデザインや皮弁の起こし方、縫合法は術者によって多種多様です。
目頭のコントロールがしやすいZ形成術による目頭切開法ではありますが、Z形成術のみならず目頭切開手術で問題となる点は、「術後の傷跡(瘢痕)」です。
体質にもよりますが、Z形成術の傷は、目頭切開法の中でも比較的きれいに仕上がる傾向にあります。
そんなZ形成術であっても、目頭の変化量は大きくするためにZの1辺の大きさを長く取れば、傷跡はやはり目立ちますし、皮弁の入れ替えによる立体的な歪みが生じて自然さに欠ける目頭切開になります。
以前は目頭間の距離を調節すべくZ形成術の1辺の長さで調整することもありましたが、最近は自然さと術後の傷跡の綺麗さを追求するようになり、Z形成術の1辺の長さを2mm前後で設定するようにしています。
このことにより術後の傷跡が目立つようなことはほとんどなくなりました。
また後戻りを防ぐために、三角弁の皮下には真皮縫合を施しています。
このことにより術後も安定した目頭が得られるようになりました。
しかし、大きな皮弁のZ形成術にはなりませんので、場合によっては物足りなさを感じることもあると思います。大きな変化を求める方には適応外かもしれません。
当院の目頭切開術では術前に仮デザインを行い、手術室でキャリパー(眼科の測定器)を使用して計測し、正確に大きさを決めていきます。
・局所麻酔の手術で30-45分(両側)の手術です。
・抜糸は7日目に行います。
抜糸までの間は傷が綺麗になるように軟膏を処方します。
・術後のキズはどうしても1-2ヶ月くらいは赤く盛り上がるようになりやすいです。
3ヶ月を過ぎてくるとぼやけてくるところも生じてきます。
6-8ヶ月くらいで気にならなくなってくることがほとんどです。
※傷は白くなりますので、もともと皮膚色がある方はやや傷が白く浮いて見える傾向にあります。
それでは実際の症例を見てみましょう。
術前です。
手術のデザインです。1辺が2mmになるように設定しました。
手術直後です。
術前-7日目抜糸直後-術後5ヶ月目です。5ヶ月もすると傷がだいぶ馴染みます。
〈手術名〉
Z形成術による目頭切開
〈概要〉
目頭にZ形成術を利用した方法でデザインし切開し新たな目頭を作成します。
〈治療費〉
目頭切開 120,000円(税別)
〈経過〉
1-2ヶ月は赤みや傷の肥厚がおこりやすいです。
6-8ヶ月で傷の固さが取れてきます。
〈注意点〉
固定している吸収糸が白い点になることがあります。処置で対応可能です。
目頭切開の傷が目立つか目立たないかはかなり個人差があります。
若干の後戻りの可能性、左右差の可能性など。
よだ形成外科クリニック院長
依田 拓之 院長
心から信頼できる
美容外科医療を目指して。
・日本形成外科学会認定専門医
・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医