コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2022.02.17(木)
今回は私が取り組んでいる眉下切開についてお話をしていきます。
眉下切開は眉下リフト、眉毛下皮膚切除などとも呼ばれます。
最近SNSなどで眉下切開がやけに着目されているようですが、術後後遺症の問題も散見されます。
早速ですが、私が取り組んでいる眉下切開について説明をしていきたいと思います。 皆様の参考になれば幸いです。
眉下切開は、今やメジャーな眼瞼手術のひとつとなりました。
約20年前に当時冨士森形成外科に所属されていた、現ジョイアクリニックの林寛子先生がこの方法を発表された時は、衝撃的な手術方法でみんなビックリしたものですが、追試でいろいろな術者が行う中で否定する方もいました。
最近では、眉下切開の自称専門家だとSNSなどで発信している若いドクターを見ますが、ここまでメジャーになり、いろいろな美容外科医や形成外科医で欠かせない眼瞼の手術方法となった「眉下切開」の歴史を是非とも理解していただきたいと思います。
そもそも皮膚を切除する方法ですので、皮膚の余りがある場合に検討される方法です。
また、眼瞼の皮膚は睫毛側が薄く、眉毛側が厚くなっています。
その厚い皮膚を切除するので厚い皮膚が被っている場合も適応です。
ですので、加齢に伴う皮膚のあまりに対する手術が本来の適応です。
若年齢に適応になるかは、ケースバイケースとなります。
眉下切開は、基本的に眉毛の下のラインが傷になるようなデザインをします。
眉毛の毛流は内側が上方に向かっているため、この部位に切開線を作成すると目立つ傷になることがあるため通常は用いません。
外側優位に皮膚の切除量が多くなります。
このデザイン上の特性から眉下切開の最適な手術適応は、皮膚の余りがある方で、特に外側の眼瞼の皮膚が下がっている方ということになります。
適応が低いのに眉下切開を行うとつり目のような雰囲気となってしまうこともあります。
眉下切開の手術の適応の一例
・以前は二重だったのに皮膚が被って外側のラインが見えなくなった。いわゆる三角眼。
・一重で年々開瞼が重くなっている。二重にはしたくない。
その人の眉毛の形にもよりますが、なるべく紡錘形にデザインした方が術後の眉毛の形の変化が少ないと思います。
デザインの中央部では眉毛ギリギリで切開するより、場合によっては眉毛内にデザインした方がいいケースもあります。
眉下切開の傷跡は比較的キレイになりやすいと思います。
しかしそれは形成外科的な工夫をしてこそ実現できるものです。
という点に私は気をつけて行っています。
毛包斜切開術が必要かといわれると、私はあまり必要ないかなと思っています。
おそらくほとんどの方に適応はないと思います。
眉下切開は少なくとも5-6mmの皮膚切除が必要となります。
全切開二重形成術時にまず5-6mmの皮膚を切除することはありません。
もともと皮膚の張りがあるのが若年齢ですから、外側優位に眉毛下の皮膚が切除されると、つり目の雰囲気や、二重の線が浅くなる、眉毛内側の傷が目立つ、まぶたが閉じられないなどの大きな後遺症が残ることがあります。
実際、他院で眉下切開を行われた後の後遺症について相談を受けることが増えています。
眉下切開の適応の場合、術前に坐位にて皮膚を予定切開ライン上まで持ち上げて眼瞼の形態をチェックします。
重瞼の変化や開瞼の程度をチェックしてデザインを決定していきます。
手術は局所麻酔で行います。眼瞼の手術はまぶたの開閉チェックを必要とする場合があるので、意識を落とすような麻酔は使用しません。
片側約45分の手術です。
術後、ガーゼなどは当てません。翌日より洗顔洗髪は可能です。
眉下の傷をそっと洗っていただき、処方された軟膏を塗っていただきます。
抜糸は7日目に行います。
翌日より傷跡に対してお化粧でカバーが可能です。
7〜10日くらいは引きつった線が生じることがあります。
傷跡は3ヶ月くらいは赤味を生じやすく、6ヶ月くらいすると産毛が混じってきてよりぼやけて見えるようになります。
35歳の方です。
眉毛と睫毛の距離が長いのを気にされていたため、眉下切開を計画しました。
手術後の傷跡は、ほぼ分からないくらいきれいです。
眉下切開は適応が合えばとてもナチュラルに仕上がる素晴らしい手術です。
手術する医師としては、形成外科的縫合技術が求められます。
若年層にむやみやたら多すぎる皮膚切除は悩ましい後遺症を発生させますので、美容外科医として経験豊富な術者と検討されるのがいいと思います。
適応でない場合は眉下切開を断るくらいの美容形成外科医がいいと思います。