コラム
コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2023.2.3(金)
上腕(二の腕)は脂肪沈着を起こしやすい場所の1つです。
なぜ脂肪沈着を起こしやすいのか?
それは、上腕三頭筋が日常の生活の中であまり使用することがない筋肉だからです。
もし上腕三頭筋を鍛え上げたとしても、それだけでは上腕(二の腕)を引き締めることは難しいといわれています。
また、それと同時に全身の筋トレや食事制限を行ったとしても、年齢を重ねるにつれ、思うように痩せることができなくなります。
そこで、二の腕のシェイプ改善に役立つのが脂肪吸引です。正しく行えば良い結果が得られる場所です。
本日は二の腕の脂肪吸引について話をしていきましょう。
そもそも脂肪吸引とは、皮下脂肪を外科的に専用の吸引管で引き去る手術です。
しかし、皮下脂肪には血管や細かな神経が存在し、さらに皮下脂肪はいくつかの層構造になっています。手術はブラインド手術と言って、直接術野が見えません。
以上の特性を考慮に入れ、解剖学的知識を持ってしっかりとした技術で脂肪吸引手術を行わないと、トラブルを誘発することになりかねません。
通常の脂肪吸引手術は、該当部位にTumescent(チューメセント)溶液という麻酔の入った脂肪吸引用の溶液を注入していきます。
Tumescent(チューメセント)溶液を注入することにより、下記のような状態となり、脂肪吸引が行いやすくなります。
・血管の収縮作用がおきる
・脂肪細胞間が溶液でほぐれる
脂肪吸引の器具の選定について、私論を述べますと、スタンダード型だろうが、超音波や水流を使用した型であろうが、素晴らしいのは機械ではなく手術する術者の技術が肝心で、決して器具の問題ではないと考えています。
丁寧に脂肪の層を感じながら、「残すところは残す」ということも大事な判断です。
当院で行う脂肪吸引は、特殊な装置のある吸引器で行うのではなく、スタンダードな吸引器と吸引管を使用して行っています。
Tumescent(チューメセント)溶液の局所麻酔効果は2時間弱ですので、この時間内に脂肪吸引が行える範囲なら局所麻酔での手術が可能です。例えば、腹部~側腹部ですと4〜5時間手術時間が必要なので、Tumescent(チューメセント)溶液のみの局所麻酔では行えず、当院では全身麻酔下での手術を行うことになります。
当院では局所麻酔を、二の腕、頬部・アゴ下、ふくらはぎの脂肪吸引で使用可能としています。
二の腕の脂肪吸引の対象は、いわゆる振り袖型の脂肪沈着をおこす上腕三頭筋部位である上腕の裏側です。力こぶができる表側の上腕二頭筋部位は行いません。
また、肥満後にダイエットなどを行って痩せた方で、皮膚が余ってしまっている場合も、脂肪吸引単独の手術は不向きです。この場合は、皮膚の切除術を併用しないと対応が難しいと考えます。
皮膚の余りが少ない脂肪沈着のケースが脂肪吸引の良い適応です。
術前の診察で脂肪吸引部位をマーキングします。
吸引管の挿入部位にもマーキングをします。通常は脇と肘裏の2箇所から行います。
場合によってはその中間にも挿入部位を作成することがあります。
手術室で体位を取り、消毒をして体勢を取っていきます。
吸引管の挿入部位に局所麻酔を注射し、小切開して吸引口を作成します。
この吸引口からTumescent(チューメセント)溶液を注入する専用のカニューラを脂肪層に挿入し、静かにTumescent(チューメセント)溶液をまんべんなく注入していきます。
これ以上入らないくらいにパンパンにしていきます。
このことにより出血がほとんど起こらず、しかも脂肪の層を意識しながら脂肪吸引を行うことが可能になります。
上腕の脂肪吸引は局所麻酔ということは意識がありますので、手術体勢を変えるときに手伝っていただくこともあります。
私が一生懸命手術しているのも分かると思います。
脂肪吸引が完了したら、吸引管の挿入部位を縫合し、テーピングを行い弾性包帯で圧迫固定をします。
以上で手術終了です。
5日目にテーピングをオフ、7日目に縫合部の抜糸を行います。
この間は二の腕を濡らすことができませんので、部分清潔となります。
抜糸後は脂肪吸引専用のガーメントを装着していきます。
吸引部位の内出血斑は10〜14日くらいあります。
内出血が治まる頃から吸引部位が硬くなっていきますので、1回/週の頻度で超音波やトラネキサム酸の導入をしながら、アフターケアマッサージを行っていきます。
腕を使う運動は手術後約1ヶ月から少しずつ行っていただきます。
過去に手術の1ヶ月以内にダーツを行ってしまい、パキッとして腫れてきたという方もいましたので、少しずつが大事です。
注意点などは、まれに吸引した部位に漿液がたまることがありますので処置で抜いていきます。
また、一時的な吸引部位の感覚低下が生じます。3〜6ヶ月くらいで解消します。
また、手術後の体重管理が甘いと左右差を助長することもありますので注意が必要です。
36歳の女性の方です。上段…右腕 術前、下段…左腕 術前です。赤い線で囲んだ部位を脂肪吸引手術していきます。
手術後の3ヶ月目です。ほっそりとしました。
【手術名】上腕(二の腕)の脂肪吸引
【概要】Tumescent(チューメセント)溶液という麻酔が含まれた溶液を注入し、3mm、2mmの吸引管で丁寧に脂肪吸引します。
テーピングオフ5日目
吸引管挿入部抜糸7日目
使用量は個人によって異なります。
ガーメントの装着はなるべく長く。
運動可能は約14日〜20日後
【注意点】左右差、一時的な固さ、つっぱり感、刺入部の赤みなど
【治療費】両側 330,000円(税込)
よだ形成外科クリニック院長
依田 拓之 院長
心から信頼できる
美容外科医療を目指して。
・日本形成外科学会認定専門医
・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医