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コラム - よだ形成外科クリニック【形成外科・美容外科・美容皮膚科 】
コラム
公開日:2022.05.09(火)
全切開二重術は奥が深く、手術方法は術者によって様々です。
しかしどの方法にも共通することは、眼瞼の皮膚を切開、そして縫合するということ。
それはつまり皮膚の連続性が一度絶たれるということであり、元の状態には戻らないということなのです。
「アイプチや埋没法による二重では、そこそこキレイなラインが作れていたのに、固定化したいから全切開二重に置き換えたい。」と希望して、普段のアイプチで作るライ
ンや埋没法を施したラインで皮膚切開をお願いしたところ、想像外の幅広二重でくい込みもきつい二重となってしまった。
というお悩みで、当院に修正を求めてこられる方がいらっしゃいます。
このようなことが起きる原因は、
全切開は、「ラインに沿って皮膚切開して縫合する。」という単純な手術方法ではないということです。
そして全切開したラインを固定化するには、
何かしら皮下の組織を切除や減量して、ラインから睫毛までの皮膚を皮下に固定するという手技が入ります。
このことにより大きな変化が生じ、アイプチや埋没法の時とは想像外の結果となるのです。
アイプチや埋没法のラインの通りに手術してしまう術者にも問題があります。手術の技量不足のみならず、術前のシミュレーション能力も欠けています。
ましてや術者ではなく、「カウンセラー」と呼ばれる医師免許のないスタッフがシミュレーションもせずにオーダーし、そのオーダーのとおりアイプチや埋没法のラインで切開してしまうということもあるようです。
全切開による二重形成術を成功させるコツをいくつか挙げておきます。
・誰が見てもナチュラルと思うくらいの二重幅が無難
・自分の解剖学的特性を越した二重、例えば幅広平行二重を全切開で求めない
・アイプチ、埋没法のラインは全切開の時のラインとは限らない
・シミュレーションなしの手術はあり得ない
・少なくとも形成外科学会専門医あるいは美容外科学会専門医を有し、実際美容医療しているドクターが術者であること
・美容外科歴が7年以上はあること。卒後研修して美容外科数年のドクターにははっきり言って全切開二重の手術なんて無理
と言うところでしょうか。
全切開二重手術を受けて、幅広二重でくい込みのきつい結果となって当院を受診される方のほとんどは、奥二重でいいから、とにかくナチュラルな二重に戻したいと話されます。
それではナチュラルな二重とはどのような二重でしょうか?
その答えは解剖学にあります。
二重とは睫毛から上の、あるラインが固定されて、眼を開けるとそのラインから上の皮膚が被ってくるのが二重なので、睫毛と二重のライン間の距離が大事です。眼球は球状の形態なのでラインを高くするほど食い込むことになります。
固定点は医師によって異なりますが、瞼板というまぶたをひっくり返すことができる固い組織を私は利用します。
瞼板の大きさの平均は、女子は約7mmなので、二重の切開ラインは瞼板内の7mmにあれば、まず無難な二重が期待できます。
当院の方針としては、二重として皮膚が折れるラインは睫毛から瞼板内の7mm以内としています。切開された上方のラインを消すことがまず求められる条件です。
ここで難しいのは上方のラインを消すことです。
専門的なことを説明するのは難しいので、眼輪筋下のROOFという組織群を7mmの新たな切開から上方の過去の切開ラインを越して剥離することがポイントです。
そして過去のラインの裏側で裏打ちするように、まぶたの脂肪でふんわり持ち上げると消えることが多いのです。
そして7mmより上方の切開だと挙筋腱膜と瞼板の付着部分を手術的に痛めることが多く、その結果開瞼量が減少するので、挙筋腱膜の修復を施し開瞼量を増やしてあげます。
このことにより眼が開きやすくなり、見かけの二重幅も狭くなります。
二重とは睫毛から上のあるラインが固定されて、眼を開けるとそのラインから上の皮膚が被ってくるのが二重なので、睫毛と二重のライン間の距離が大事です。眼球は球状の形態なのでラインを高くするほど食い込むことになります。
固定点は医師によって異なりますが、瞼板というまぶたをひっくり返すことができる固い組織を私は利用します。
瞼板の大きさについて、女子は約7mmなので、二重の切開ラインは瞼板内の7mmにあればまず無難な二重が期待できます。
【睫毛から約7㎜で切開】
【瞼板前組織の減量】
【眼輪筋を瞼板内で固定】
【高いラインで切開、組織を取られるとくい込みが強くハム眼になる】
理論的には修正のポイントは上述のとおりです。日本美容外科学会(JSAPS)にてその概要を発表いたしました。
修正困難例は①皮膚の取り過ぎ、②皮下組織の取り過ぎ、③複数回の修正を含めて切開されている症例です。
手術は表面より皮下組織に癒着、つまりキズが入るので、ネジを締め直すがごとく修正は簡単ではありません。
修正の時期は、少なくとも癒着がゆるむ6ヶ月以降、できれば12ヶ月は経過が欲しいです。慌ててもいい結果は得られません。
すべての方に修正が可能なわけではありません。経過をお聞きして、診察をして判断をしています。よかれと思って手を出したことによって、かえって苦しめることがあるのが修正術のある側面です。
修正ビジネスと言って他院の修正をメインに行うクリニックがあります。一度前医の手が入っているので、そこでの修正の結果は免責でお願いしますということもあるらしいです。
修正手術を引き受けられるかは診察をしてみないと分かりませんが、お困りの方はぜひ一度私に診察をさせてください。
こちらの患者様は、他院で部分切開二重+埋没法手術の併用を受けられた方ですが、予想以上にはっきりとした二重になってしまったそうです。
ラインは 11mm。まずは埋没糸を抜去し、その後 7mm で切開、11mm のラインを ROOF 下に剥離、挙筋腱膜を前転修復する予定としました。
こちらは、修復後の1年6ヶ月目のお写真です。
ご希望の奥二重気味に修正することができました。
この症例は、皮膚組織の切除がほとんどなかったことが良い結果につながりました。
よだ形成外科クリニック院長
依田 拓之 院長
心から信頼できる
美容外科医療を目指して。
・日本形成外科学会認定専門医
・日本美容外科学会(JSAPS)認定専門医